モテない俺は顔が悪い訳ではない。
「お!産まれた時やん。俺もかわえーなー。」
……。
ちょっと虚しくなったので、ひとりで喋るのはやめた。
ペラペラとページをめくる中で、俺はふと違和感を覚える。
「あれ…?」
コンコン。
ノックをする音が聞こえて、はーいと言って返事をすると、静かにドアが開かれる。
「春樹飲む?」
母さんが飲み物を2つ持って立っていた。
あ、ここで見るのね…。
「あら~懐かしい!」
俺が5歳くらいの時の写真を指差す。
「大きくなったわねー。」
「もう高校生ですから。」
きゃっきゃっと騒ぐ母親に、あんたはもう40ですから!という思いを込めて見つめた。
「なによ…。その目はなによ…。」
「なんでもー。あ!そういやさ、この子誰?」
俺が3歳くらいの時の写真から、小学校5年生くらいの時まで、俺と一緒に写っている女の子を指差す。
「あー…。」
母さんは難しい顔をして写真を見ている。
なんだ、なんだ?
「詩織ちゃん…。」
聞き覚えのある名前に、俺はえ?とかえす。
「真中詩織ちゃん。あんたの幼なじみよ。」
え……?
……………え?!