モテない俺は顔が悪い訳ではない。
「なんか嬉しいな。中谷くんが2人で食べたいなんて言ってくれるなんて。」
そう言って微笑む真中さん。
「…真中さんはいつも直球にものを言うね…。」
「え…?そう?」
「そうだよ。昔だって……あれ?」
俺は…何を思い出した?
昔も、彼女は積極的だったのだろうか…?
「ちょっとずつ…思い出してる?」
ちょっと困った顔で俺の顔をのぞき込んでいる。
「…詩織。」
「え?」
「詩織って呼んでいい?」
俺から見てても分かるくらい、真中さんの顔が赤くなっている。
なんだかこっちまでつられて赤くなるな…。
「いいよ…。」
俯きがちで呟く彼女に、俺は詩織ともう一度呼んだ。
「なーに?春樹くん。」
そう言って笑った彼女の笑顔にやられたのは言うまでもない。