モテない俺は顔が悪い訳ではない。
「知ってたの?」
体を起こして尋ねる。
「だって春樹くん、寝たふりしてるとき微妙にまぶたが動いてるんだもん。」
「え…。」
「昔からのくせ。」
「昔…。」
なにかに気付いたように、詩織はハッとしてごめんと言う…。
「…前にも、詩織言ったよね…。」
「え?」
まるで映像が流れるかのように、自分の記憶が蘇ってきている事に気付く。
“…ちゅーしちゃおうかな”
“え?”
いたずらっ子のように笑う詩織。
ああ、あれは…
小5の夏だっただろうか…。