モテない俺は顔が悪い訳ではない。
『春樹くん!』
やべっ!詩織だ!
俺はそう思って寝たふりをする。
『あれ?寝てるー。』
『詩織ちゃん。悪いけど少し見ててくれる?おばさんちょっとお買い物行ってくるから。』
『はーい!』
パタンとドアが閉まる音が聞こえた。
『春樹くん大丈夫かなー。』
詩織のそんな声が聞こえて、おでこに違和感を感じる。
『もう熱くない。大丈夫か…。良かった。』
おでこから手が離され、なんだか俺も少し緊張がとける。
『…ちゅーしちゃおうかな。』
……。
『え?!』
バッと目を覚ますと、詩織はニコニコと笑って俺を見ていた。
『じょーだん!』
まるでいたずらっ子のように笑う詩織を、きっと俺は可愛いと思っている。
『春樹くんまた寝たふりするー。』
『…別にいいだろ。』
『ねぇ!』
何かを思い出したかのようにぱぁっと顔が明るくなる。
『明日、公園にきて。風邪が治ってたらね。』