壊れた心は
「おや咲良ちゃんおかえり」
「晴さん。ただいま」
花の手入れをしていた晴さんが笑顔で挨拶してくれたので、返事をした。
「バイクじゃないのかい?」
不思議そうな晴さんに苦笑いする。
「スーパーに置いてたら不良に絡まれてたんで置いてきました。夜にでも取りに行こうかと」
そんな私に
「おやおや、大変だったね。帰ってきたら労ってあげないと」
私の愛車を私と同じように愛してくれる晴さんに微笑する。
「ありがとうございます」
「そういえばさっき気づいたんだがね、咲良ちゃんの制服がうちの孫と同じだったんだよ」
ぽん、と手を叩いた晴さんに首を傾げるとそんなことを言い出した。
「えっ…そうなんですか?」
思わず聞き返すと
「孫と孫の友人が晴麟の生徒なんだがすっかり忘れていたよ」
はっはっはっ、と笑う晴さんに苦笑いしか出てこない。