壊れた心は



「咲良ちゃんの言う通り反抗期のようなんだが根は良い奴らなんだ。もし知り合ったらどうか普通に接してやってほしい」



前々から晴さんに、晴さんの孫とその友人については聞いていた。



かなり前からとある暴走族にいて家に帰らない。



晴さんのところにはたまに顔を見せるらしく、元気なのは知っているが家庭も複雑で心配だ、と。



「大丈夫ですよ。あたし人の事情とか気にしないんで。むしろ晴さんのお孫さんならそのときは先入観やら偏見やら全てを取っ払ってお孫さん自身を見つめてやります」



晴さんに笑顔を向けてきっぱりと言い切る。



そう。



他人がどんな事情を背負っていようがどうでも良い。



あたしはあたしだ。



それに、晴さんには本当にお世話になっている。



そんな晴さんのところにはたまにでも顔を見せるのだから、晴さんの言う通り根は良い奴だと思う。



だが、それもこれも先入観でしかない。



だから晴さんの孫ということさえも取っ払ってそいつ自身と向き合ってやろう。



なんて、ひどく上から目線だな。



< 11 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop