壊れた心は
「おや咲良ちゃんおはよう。早いね、今日から学校かい?」
駐輪場では管理人である晴ーハルーさんが掃除中だった。
「おはようございます。入学式なので早めに行こうかと」
挨拶とともに笑顔を向け答える。
「そうかいそうかい咲良ちゃんは偉いねぇ。うちの孫とは大違いだ」
はっはっと笑う晴さんに
「お孫さんはきっと反抗期なんですよ。そういう子の方が将来ちゃんとした大人になるらしいですよ?」
苦笑しながらそう返す。
「だと良いがねぇ。咲良ちゃんは本当に良い子だ、気をつけて行ってくるんだよ」
晴さんは時計を見て学校へ行くよう促してくれた。
そういう気遣いをしてくれる晴さんは好きだ。
「はい、ありがとうございます。行ってきます」
晴さんの気遣いに素直に頷いてバイクを発進させた。
「…はて、咲良ちゃんの制服どこかで見た気がするねぇ…」
そんな晴さんの呟きは空に消えていった。