壊れた心は
「そういえば冷蔵庫なんもねぇや」
ふと思い出して駐輪場には行かずにスーパーの中へ足を進めた。
「まぁこんくらいかな…」
バイクに詰める程度ではあるが一通り必要なものを買って駐輪場へ向かった、のだが。
「なぁなぁこのバイクカッコいいな!」
「スーパーにあるとちょっと異質だけどね」
「…他人のもんあんま触るなよ」
バイクをベタベタ触りながらキラキラした目で見つめる燃えるような赤い髪の男
それを苦笑いで見つめる深い海のような群青色の髪の男
無表情でそれらを見ながら咎める言葉を口にするカラスの翼のような漆黒の髪の男
三人とも種類は違えど皆一様に整った顔をしている。
だがしかし、彼らが取り囲んでいるのはあたしのバイク。