幸せのはじまり
夏休みも早々に終わり、気だるい暑さだけが残る。
「まだ残暑が続きますが、体調に気を付けて勉強に励んでください」
長々とした校長の話も始業式も終わり、体育館から校舎へと歩く。
「やっと終わったねー。
早く帰りたい。地味に始業式ってしんどいよね。お尻痛くなるし」
友人の千夏がげんなりした顔で腰を擦る。
「ほんとにねぇ。早く帰りたい。
暑いしさぁ」
「あ、でもさぁ、次HRだよー
体育祭のなんちゃらでー」
得意の適当節をかます所が好きだ。
「今日決めるんだ。
めんどいね。今年は応援団長だれだろうね」
体育祭では毎年応援団が赤、白、黄、緑の4つに別れてエールを送る。
全学年4クラスあるからだ。
格好いい先輩が出てたりすると、それだけで盛り上がりは違う。
やる気スイッチといったとこだろうか。
「だれだろうね!それだけは気になるかもっ♪」
「あははっ現金なヤツだな相変わらず」
千夏は美人で密かに人気がある子だが、
中身はオヤジみたいな子だ。
スルメを辛子マヨ醤油で食べるのが大好物だったり。
蓋を開ければなんちゃらだ。