幸せのはじまり
そんな会話をしながら歩いていたらあっという間にクラスにつき、席につく。
キーンコーンカーンコーン
授業開始の鐘がなる。
「よーしお前ら。
体育祭に向けて種目決めと、応援団きめるぞー」
教卓で先生が野太い声で意気揚々と言う。
綱引き、リレー、ムカデ競争、借り物競争etc..
黒板に次々に書かれていく。
どれもやりたくない。
それが本音なのだが、やらないわけにはいかないらしい。
残り物には福があるというし、残ったものでいいや、とボーッと次々に決められていく種目を眺めていく。
千夏は綱引きにしたみたいだ。
「練習もそんないらないし、走らなくていいいし。」
という理由で。
皆次々に立候補していき、最後にあまったのは借り物競争。
ハードとも楽とも言えない微妙な種目だが、しょうがないと承諾する。
厄介なお題を引かなければ終わる。大丈夫。
自分を励ましながら黒板を見つめていた。
「……よし。無事それぞれ決まった所で、
応援団だれか立候補するやついねえかー」
ザワザワ……
先生の言葉の、すぐあとにざわめくクラスメイトたち。
[やりたくないよね。チアとか花形だし
憧れるけどむりむり]
[太鼓たたきてーな、俺]
男女でそれぞれ思いを口にしているようだ。
「好きこのんで人前に出ようとなんてあんまり思わないよねぇ」
「そうだよね、でもまぁ、キラキラしてて羨ましいけどさ」
チアは可愛い人達ばかりだし
団長は格好いい人と決められている気がするし。
程遠く感じてしまう。
そりゃあ、私にも小学生の時とか、やりたいな、という時もあったけどー……。
ゆきを含めざわざわしている所で、
ガラっといきなり教室の戸が開く。
「お、来たな黒木~」
驚き静かになった生徒を他所に、
待ってましたと言わんばかりの顔をする担任。