初恋の甘い仕上げ方
「へえ、昨日、一緒に?」
からかうような別府所長の目に、私は思わず口をつぐんだ。
何かを知っているような視線がやたら私を刺すようで、もじもじしてしまう。
「昨日からずっと一緒にいたんだ? 朝まで……って聞くのも野暮だな。その印はしっかり見えてるし」
「印?」
「今日はハイネックのセーターがいいって翔平君に言われなかったか? あ、わざと見える服を着せたとか。彼もクールな見た目によらず、自分のものは自分のものってちゃんと主張するってことか」
「見えるって、何が見えるんですか?」
別府所長の言葉が理解できず、問い返した。
すると、何故か小椋君が立ち上がり、机に身を乗り出して私をじっと見る。
その様子があまりにも真剣で、私は思わずあとずさったけれど、その先には別府所長がいて、身の置き所に困ってしまった。
「所長、どういう……」
小さな声で問う私に、別府所長はくすりと笑い「白石さんも、いいオトナだから、気にすることはないんだけどさ」とつぶやいたかと思うと。
私の首筋を人差し指でするりと撫でた。