初恋の甘い仕上げ方
「もう、何を言っても何をしても無駄だ。俺が本気で手に入れるって決めたんだから、諦めろ」
翔平君は私の唇を何度も啄み、思い出したように吸い上げる。
その痛みから逃げようと顔を逸らしても、恋愛初心者ともいえる私の動きはお見通しのようで、簡単には逃がしてくれない。
逃がさないどころか浅い呼吸を繰り返す合間に開いた唇を割って、舌を差し入れてきた。
私を抱きしめる力が強くなり、体も唇もすべて、翔平君に拘束されたみたいだ。
そう感じた途端、私の全身から力が抜け、そのまま翔平君へと体を預けた。
そして誰に教えられたわけでもないのに、翔平君の動きに合わせて舌を絡ませ合い、何度も甘い声を漏らした。
恥ずかしくて声を出さないように気を付けても、翔平君はそれすら見透かしたように激しく動き、私の声を楽しもうとしている。
「萌の声、こんなときでもかわいいな」
「ん……っ、そんなこと……」
恥ずかしいし照れくさいし、慣れていないこの熱をどう逃がしていいのかもわからない。
それでも次第に体は心地よい刺激に反応し、翔平君の手がゆるゆると背中を這うたびにさらに声が漏れてしまう。
体は何度もふわりと揺れ、さらに力が抜けていく。
抱きしめられ動きを抑えられているにもかかわらず、体中から溢れ出る翔平君を求める気持ちにだけは忠実だ。
どれだけ恥ずかしい声をあげ、どれだけ翔平君の動きに戸惑いを覚えても、好きで好きでたまらない人から拘束され撫でられて、それ以上の熱い時間を欲したとしても不思議ではないはずだ。
「萌、もっと俺にしがみつけ」
深い口づけに夢中になっている私に、翔平君がつぶやいた。
「俺だけじゃない、萌だって俺を求めてるって、態度で示せよ」
「そんなの……今更、でしょ……わかってるくせに」
「わかってるのと、実感するのは違うだろ。いいから、俺を喜ばせてくれよ」
私の耳元で低い声を落とす翔平君は、そのまま耳朶を甘噛みし、首筋や鎖骨に軽い痛みをいくつも残していく。