初恋の甘い仕上げ方
翔平君の優しい声が耳元に響く。
その声からは、両親たちに負けず、翔平君もこの夜を楽しく過ごそうとしているのがわかった。
両親たちの訪問を面倒だと思っていない翔平君の気持ちを察することもできる。
私としては、できれば今夜はふたりきりで過ごしたいと思わなくもないけれど、ここ数日の慌ただしい流れをきちんと収束させるためにも、そして。
「早く、翔平君とのんびり一緒に暮らしたい」
そのためにもお見合いを断ったことによる影響だとか、甘いだけではない話もしなければ、と覚悟している。
母さんや翔平君の口ぶりからは、大した問題はなさそうだけど、当人が何も知らないままで終わらせるなんてできないから、ちゃんと聞かなくては、と気持ちを引き締めた。
……というのに。
どうにか引き締めた私の気持ちを再びゆるゆるにするように、翔平君が私を強く抱きしめる。
背中から伝わる体温が普段以上に熱く感じて、足元の力が抜けそうになる。
「萌、次は我慢しないから。ま、家族作りは結婚してからだけどな」
吐息に紛れたその言葉に私の心はほどけ、体すべてを翔平君に預けた。