初恋の甘い仕上げ方
二十年近くの長い片思い。
翔平君のご両親が手放しで大喜びしている様子を見ながら、それは奇跡のようなものだと震えた。
翔平君のご両親の興奮し過ぎる様子に気圧されたのか、私の両親は少々戸惑いながらも私と翔平君に「萌のねばり勝ちね」と言って笑った。
『本当に萌でいいの? 一度結婚したら簡単に返品はできないのよ。萌の気持ちに押し切られての結婚だったら、翔平君は幸せになれないわよ』
一途といえば聞こえはいいけれど、しつこいと一喝されてもおかしくない私の強い気持ちを知っていた両親は、翔平君の行く末を気遣い申し訳なさそうにしていた。
少々傷つきながらも私もその言葉には納得でき、へへっと笑って翔平君に肩をすくめてみせた。
『萌が俺を諦めずにいてくれて、良かったと思ってます。でもきっとこれからは、どんどん成長していく萌を俺が必死で追いかけていくはずです』
両親への気遣いが感じられる翔平君の言葉に照れたのは私だけではなく、私の両親、そして翔平君のご両親も同様で。
迷いのない強い視線を私に向ける翔平君に、翔平君のお父さんは。
『お前、そんなセリフ格好よすぎるだろ。俺より俳優に向いているぞ』
肩を揺らしながら笑ってそう言った。