初恋の甘い仕上げ方




昨夜、母さんたちが我が家に来たあと、仕事で家を空けるからライトの配達日を変えてもらわなくてはと注文伝票を探していたとき、母さんが家に来て受け取ってくれると言ってくれた。

我が家は実家から歩いて十分程度だ。

買い物にでかけるついでに寄ってあげるという母さんに甘えてお願いした。

梱包も解かれ、ダンボールなども片づけてくれたようで、ライトと保証書らしきものが残されているだけになっていた。

いつも手際よく家事をこなす母さんの気遣いがありがたい。

ソファに腰掛け、ライトと点けたり消したりしていると、翔平君も私の隣に腰掛けた。

コートを脱ぎ、オフホワイトのセーターとジーンズというあっさりとした服を着ていても見惚れてしまい、そっと視線を逸らした。

恋人となって日が浅いせいで、翔平君の隣にいることにも慣れないし直視するのも照れてしまう。

恋心を隠していた頃のほうが、ちゃんと翔平君の顔を見れたかもしれない。

それって、かなり幸せな悩みだなと口元を緩めていると。

翔平君は、座ったまま体を私に向け、口を開いた。

「『白石萌』から『水上萌』に変わる前に、プレゼントがあるんだけど」

「プレゼント?」

「ああ。さっき、久和さんが口を割らなかった秘密のプレゼント」

「な、なに?」

なにか躊躇しているような翔平君の言葉に違和感を覚えた。

私の反応を探るような瞳から、不安が見えている。

いつもの飄々としていて自分の想いには忠実な翔平君とは違うその様子に、とくん、と胸が鳴った。

私の頬をするりと撫でる指先もいつもより神経質に思えて気になるけれど、その指先に触れられるたび私の体が喜んでいるのがわかる。

どこまで私は翔平君に惚れているのかと思いふふっと笑い声を上げた。





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