初恋の甘い仕上げ方
今日は、野菜も食べなきゃ。
あ、チョコレートの新商品も並んでる。
冬間近のこの時期、心弾ませるチョコレート達が我が物顔で売り場を占領していて、その戦略にまんまと乗せられてしまう私だけど。
大好きだから、仕方ないよね。
目の前に並ぶいくつかの新商品を手にして、その全部をかごに入れた。
そうでなければ、買わなかったチョコレートが気になって明日の朝通勤の途中で残り全部を買ってしまうとわかっているから。
そんな今までの経験を思い出して、新作のチョコレートすべてを買うことにした。
各メーカーがこの冬のおすすめとして宣伝しているおいしそうな八種類。
チョコレートが大好きだという理由以外にも全種類を買う理由はあるけれど、そのことは考えないようにした。
私はそのパッケージをしばらく見つめたあと、気持ちを切り替えるように視線を動かした。
そして、目当てのものを見つけた。
金色のベースに赤い文字が眩しい長方形のチョコレート。
値段も手頃な単なる板チョコにすぎないとはいえ、その甘さは濃厚で重い。
あっさりとした甘みが主流になりつつある中で、その濃厚な甘みに夢中になった私は、何度もこのチョコレートを買っている。