初恋の甘い仕上げ方
「大学生が小学生の女の子を可愛いと思うなんて、まずいよな。うん、まずい。だけど、俺はそう萌が可愛くて仕方がなかったんだ。だけど、分別のある大人だったから、萌の恋心には気付かないふりをしないとだめだって焦った」
「やっぱり、私は相手にされてなかったってこと?」
「そりゃそうだろ。ランドセルを背負った女の子の初恋相手に選ばれたのは光栄だけど、そんな一時の感情を拾い上げるほうが罪だ。俺に対する思いなんて恋に恋するようなもんだと思ってたし」
「私、真剣に翔平君を好きだったのにな……」
翔平君の胸に押し付けられたまま、私はぼそぼそと呟く。
冷静に考えれば翔平君が言っていることはよくわかるし、私の気持ちを受け止められなかったのも当然だ。
八歳も年下の小学生に恋心を抱かれても、受け止められるわけはない。
「だけどな、萌が成長して中学、高校、それぞれ制服が変わっても。俺を見る萌の瞳から俺への想いが消えることはなかった。会うたび背が伸びて、体も女の子から女に変わっていくのに、萌の瞳は変わらなかった。いつでも俺を好きだという気持ちが溢れていたんだ」
私の背中に回された手が、何度か優しく撫でてくれた。
翔平君自身の過去の想いを振り返るように、ゆっくりと。