初恋の甘い仕上げ方
「食後のデザートはこれで決まりだな」
パッケージの金色はきらびやかで、値段以上に上等な気持ちにさせてくれる。
もともと金色が大好きな私のために作られたような錯覚を覚えてひとりで勝手に盛り上がる。
「これも、翔平君がデザインしたんだよね……」
私のためのデザイン。
その可能性はゼロではないにしても、まさか、それはないだろうと頭を振った。
そして、サラダとおにぎりと、毎月買っている雑誌の新刊もかごに入れて。
レジに向かおうと振り返ると、久しぶりに見る顔がそこにあった。
まさに今思い浮かべていたその顔。
兄さんの親友の翔平君だ。
会えば心は弾み、嬉しさに頬が緩むのを感じるけれど、そんな気持ちを捨て去ろうとしている今、顔を合わせることに躊躇してしまう。
おまけに引っ越して以来初めて会うとなれば、心の準備が必要だ。
そう思い、商品棚の影に隠れようとあとずさったとき。
翔平君が私に気づき、その途端、表情が険しくなった。
「萌、こんな遅くに何してるんだよ。いつまでもふらふらと遊び回ってると樹が心配するだろ」
その言葉に、私は肩をすくめてため息をついた。