初恋の甘い仕上げ方
第二章
第二章 



お見合いを週末に控え、母さんがエステを予約してくれた。

両親にしてみれば、初恋に右往左往している可哀そうな娘にお見合いを強いた申し訳なさがあるのかもしれない。

とはいっても、毎日遅くまで仕事に追われて睡眠不足の肌は荒れているし髪も伸び放題。

女性としての手入れを怠っている私にはありがたい話だ。

エステと併設されているサロンで思い切って髪もカットしてもらった。

大学時代から肩下10センチあたりで揃えていた髪を顎のラインまで切ってみると、意外に似合っていて驚いた。

明るすぎないブラウンにカラーリングすると、鏡に映る私はまるで別人だ。

エステでつやつやになったお肌にメイクしてもらえば一気に心も明るくなった。

「お見合い当日、よければメイクしますよ」

「あ、いえいえ、そんなことしたら、先方に渡した写真とは別人になっちゃいます」

「ふふっ。写真よりも綺麗な姿を見せれば、お見合いは成功したも同然ですよ」

「そんなもんですか……」

美容師さんと鏡越しに話しながら笑っていると、お見合いが少し楽しみになってくる。

翔平君を忘れるためのお見合いだけど、おいしい料理も食べられるし、どうせなら楽しもうと、小さく息をついた。

「お綺麗ですよ。お見合いでいいご縁が見つかるといいですね」

「はい。そうですね……頑張ります」


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