初恋の甘い仕上げ方
つらつらとこぼれる言葉は本気の本気。
翔平君と一緒に過ごす時間なんて別に欲しくないと、自分の本心をすり替えて、翔平君だけではなく自分自身をもごまかす。
そうでなければ翔平君との距離をうまくとることができないのだ。
私のものでない男性への想いを隠すことがどんどんうまくなる。
そんな自分に心の中で苦笑した。
そして、眉を寄せて不機嫌そうな顔で私を睨む翔平君を無視して傍らをすり抜けると、レジにカゴを置いた。
顔を逸らして翔平君の視界から私の表情が消えるようにと意識して。
カゴの中に溢れているチョコレートをじっと見つめて心を落ち着ける。
こうして翔平君への溢れる感情に折り合いをつけるのはいつものことだ。
翔平君を恋しがる私の気持ちに重くて硬いふたをして、最強の作り笑顔を取り出して貼り付けて。
「じゃ、ね」
視線を合わせることなくつぶやいた。
翔平君の家からも近いこのコンビニで、いつかは会うだろうと思っていた。
というより、それを期待していなかったわけじゃない。
会えば切ないし苦しいし、つらいけれど、会いたい。
片思いだとはいえ、翔平君のことが大好きで、ほんの少しでも会いたい。