初恋の甘い仕上げ方



そのソファが運び込まれるのをまじまじと見ながら、何度も「え? え?」とつぶやきながら美乃里さんを振り返った私に、彼女は大きな笑顔を見せて教えてくれた。

『萌ちゃんがマンションを買ったって聞いたから、お祝いは何にしようかなって考えたときにこのソファがすぐに浮かんでね。あの映画のスタッフやらいろんなルートをたどって取り寄せたのよ。この部屋にサイズも合ってるし雰囲気もばっちりね』

昔から思い立ったらすぐ行動の人だったけれど、いきなりのソファには驚かされた。

たしかに次のボーナスでソファとオットマンを買おうと思っていたし、私の好みにもぴったりのソファは嬉しかったけれど、安いものではないとわかっているだけに申しわけなくて、何度も頭を下げた。

おまけにそれ以外にも食器や電化製品が部屋に積み上げられ、その量に圧倒された。

申しわけないと遠慮する私に美乃里さんは「これまで萌ちゃんのご両親が翔平にしてくれたことを考えたらこれくらい、まだまだよ。なんならローンも引き受けてあげたいくらいなのに」とけらけらと笑っていた。

「この写真って、このリビングで撮ってるよな?」

翔平君はとがった声をあげ、写真と私を交互に見ながら聞いてきた。


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