初恋の甘い仕上げ方





吐息がかかるほどの近い距離にある翔平君の口元から目を逸らす。

あまりにも近すぎて、どこを見ていいのかわからない。

おまけにこれまではっきりと聞いたことがない翔平君の女性関係について聞かされて、平静でいられるわけがないし。

「大学時代に父さんと母さんの知り合いのカメラマンに頼まれてモデルをしていただろ? それがきっかけだったと思うけど、俺の周りにはモデルやら女優の卵やらが何人もいたし、芸能界への伝手として俺を利用しようとする女もいた」

「あ、それ、聞いたことがある。美乃里さんに紹介して欲しいから翔平君に近づく女性が少なくないって兄さんが呆れてたもん」

「俺の両親が俳優だと知って、俺を踏み台にしようとする女ばかりじゃなかったとは思うけど、本気で俺に惚れてる女をどう見分ければいいのかもわからないし、面倒だし」

「うん」

「で、俺もオトコだし。そんな女を抱くこともあった」

「……そう、なんだ」




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