麗雪神話~幻の水辺の告白~
「……っ!」
足元の蔓に足を取られ、セレイアは転んだ。
もう何度目になるかわからない。
肘も膝も擦り傷だらけだ。
明かり一つないジャングルは暗く、静かで、油断していれば闇の奥深くに連れ去られてしまいそうな恐怖感があった。
それでもセレイアは、足を止めなかった。
ただひたすらに、ジャングルの奥の水場を目指していた。
草をかきわけ、進む。
彼に会ったら、何を話したいだろう。
セレイアはがむしゃらに足を動かしながら、考えをめぐらせる。
あれからのこと。
フリムに赤ちゃんが生まれたこと。
ディセルと出会い、旅をしていること。
話したいことはいくらでも思い浮かぶけれど、結局、何も言葉にならないだろうと思った。
ならばそれでもいい。
ただ、彼の姿を、一生忘れられないほど鮮烈に、瞼の裏に焼き付けられれば。
もう一目だけでいいから。
「ヴァルクス」
自分の声が、暗闇に頼りなく響く。
足元の蔓に足を取られ、セレイアは転んだ。
もう何度目になるかわからない。
肘も膝も擦り傷だらけだ。
明かり一つないジャングルは暗く、静かで、油断していれば闇の奥深くに連れ去られてしまいそうな恐怖感があった。
それでもセレイアは、足を止めなかった。
ただひたすらに、ジャングルの奥の水場を目指していた。
草をかきわけ、進む。
彼に会ったら、何を話したいだろう。
セレイアはがむしゃらに足を動かしながら、考えをめぐらせる。
あれからのこと。
フリムに赤ちゃんが生まれたこと。
ディセルと出会い、旅をしていること。
話したいことはいくらでも思い浮かぶけれど、結局、何も言葉にならないだろうと思った。
ならばそれでもいい。
ただ、彼の姿を、一生忘れられないほど鮮烈に、瞼の裏に焼き付けられれば。
もう一目だけでいいから。
「ヴァルクス」
自分の声が、暗闇に頼りなく響く。