麗雪神話~幻の水辺の告白~
ここからは泳がねば向こう岸まで行けなさそうだ。

セレイアが泳ごうと両腕を伸ばした時、足が何かに引っかかった。

水草だろう。

振りほどこうと足を動かすも、ますます絡んでくる。なんとかして振り払おうともがいているうちに、ずるっと重心にしていたもう片方の足が滑った。

「……!!」

セレイアは水の中に引きずり込まれた。

驚いた拍子に、ごぼっと空気を吐いてしまう。

水草は足に絡んだままだ。これでは顔を水面に出せない。

セレイアは喉をおさえた。

苦しい。

(どうしよう……!! ディセル……!!)

こんなところで、自分は死ぬのだろうか。

ではもう、ディセルには会えないのだろうか。

不思議とそれはとてもとても辛いことのように、セレイアには思えた。たとえ死者の国でヴァルクスに会えたとしても。

(ごめんねディセル―――)
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