麗雪神話~幻の水辺の告白~
「あんたはいつも命を狙われてるな。
これもあんたの言ってた“世代交代”と関係あることなのか?」

皇帝と二人きりの時にしか、サラマスはこの話題を振らない。

もし重大なことであれば、プラトーにですら聞かれたくない話だからだ。

いつもなら意味深に笑ってあいまいにごまかされる。

しかし今日の皇帝は機嫌がよかった。

「そうだな…。“世代交代”はあまり関係がないな。
国内には私を殺して成り変わろうとする者が多い。そして国外には、私を怨み命を狙う輩が大勢いる。ただそれだけのことだな。
サラマス、お前にひとついいことを教えてやろう。世代交代について」

「ふうん」

サラマスは気のないふりをするのが大変だった。

その情報が欲しくてこうしてそばにいるのだ。思わず身を乗り出してしまいそうになる自分を、必死で抑えた。

そんなサラマスの内心を知ってか知らずか、皇帝はにこやかに、子供に言って聞かせるような優しい声音で告げた。
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