麗雪神話~幻の水辺の告白~
サラマスはじっと、皇帝の瞳をみつめていた。皇帝も、探るようにサラマスの瞳をみつめている。

そのまま長い時間が流れたような気がするが、実際はたった数秒間だったのかもしれない。

皇帝がふっと視線を外し、微笑んだ。

「…いいだろう。
そのブレスレットが本物ならば、その条件を呑もう」

交渉成立だ。

サラマスは心の中でガッツポーズをとった。

「ただし、情報を知ったそなたが我々から離反することは許さない。
もし離反すれば、地の果てまでも追いかけてそなたを誅する」

(できるものならやってみろ)

腹の中ではそうつぶやきながら。

サラマスは、

「了解」

と答えた。

情報を手にするタイムリミットは狩猟祭。

それは約一月後に迫っていた。
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