麗雪神話~幻の水辺の告白~
3
食事をとっていても、街を歩いていても、何をしていても、セレイアは上の空だった。
心を占めるのは、幻のようなあの時間。
ジャングルの奥、冷たい水の中で、感じたディセルの体温。
そして、苦しそうに紡がれた想い―告白。
愛していると、彼は言った。
その真摯な瞳はそれが嘘でも冗談でもないと、雄弁に物語っていた。
(トリステアにいた頃からだってディセルは言ってた……)
まったく、気が付かなかった。
空中庭園王国サティエイトで、口づけされた時も、まさか彼が自分を愛しているとは思ってもみなかった。
(どうしよう…)
どうしようも何も、自分はあの日彼を拒絶した。
だからすべてはもう、終わったこと。
そう、終わったのだ。
それなのに、セレイアはまた深い物思いに沈む。
堂々巡り、答えの出ない物思いに。
「セレイア。どうやらサラマスは、皇帝の下について働いているらしい。皇帝が炎の神を従えたと噂になっていたよ。よかった…処刑されたわけじゃなかったんだね。サラマスのことだ、きっと潜入捜査をしてくれているんだろう」
「……………そうね」
ディセルが話しかけても、セレイアは本当に、上の空だった。
「あとはシルフェの行方がわかればいいんだけど…」
「…………そうね」
「………………」
心を占めるのは、幻のようなあの時間。
ジャングルの奥、冷たい水の中で、感じたディセルの体温。
そして、苦しそうに紡がれた想い―告白。
愛していると、彼は言った。
その真摯な瞳はそれが嘘でも冗談でもないと、雄弁に物語っていた。
(トリステアにいた頃からだってディセルは言ってた……)
まったく、気が付かなかった。
空中庭園王国サティエイトで、口づけされた時も、まさか彼が自分を愛しているとは思ってもみなかった。
(どうしよう…)
どうしようも何も、自分はあの日彼を拒絶した。
だからすべてはもう、終わったこと。
そう、終わったのだ。
それなのに、セレイアはまた深い物思いに沈む。
堂々巡り、答えの出ない物思いに。
「セレイア。どうやらサラマスは、皇帝の下について働いているらしい。皇帝が炎の神を従えたと噂になっていたよ。よかった…処刑されたわけじゃなかったんだね。サラマスのことだ、きっと潜入捜査をしてくれているんだろう」
「……………そうね」
ディセルが話しかけても、セレイアは本当に、上の空だった。
「あとはシルフェの行方がわかればいいんだけど…」
「…………そうね」
「………………」