麗雪神話~幻の水辺の告白~
ディセルが心配そうにセレイアを見つめるのにも、気づかない。だが彼がセレイアの肩に手を触れようとでもしようものなら、びくっと大げさなほどに反応してしまう。

「きゃ」と声を上げ、思わずディセルを見上げる。

そしてその秀麗な面差しを視界に入れてしまうと、もうだめなのだ。顔に熱が集まってくるのがわかって、セレイアは慌てて彼から離れる。

「な、なに…」

「いや………」

ディセルの表情が暗いことにも、セレイアは気が付かなかった。

その日の夜。

二人は今日も町はずれで野営をしていた。

セレイアはなかなか寝付くことができず、何度も寝返りを打っていた。しかしディセルの方は向かないようにと、気を付けている。ますます眠れなくなるからだ。

綺麗な景色でも見てくれば、少しは眠れるだろうか。

そう思ったセレイアは、そっと寝袋を抜け出した。
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