麗雪神話~幻の水辺の告白~
「限りなく黒に近い灰色、っていうところじゃないか。確かめるためにも、俺たちは一度王と接触してみる必要がありそうだぜ」

サラマスの言に、反対はできなかった。

ディセルも、賛成の声を上げた。

「ヴェインは、野放しにしておいたら、あまりにも危険だ。
早いところ彼を討つ必要があると思う。
もし彼が国王レコンダムと接触しているなら、国王のそばで彼に会える可能性が高い。その時を狙って、彼を討つんだ。二か月以内に」

―三人が天上界に戻る、二か月以内に。

無茶苦茶な目標のようだが、三人が特別な力を持つ神である限り、それは十分妥当な目標として掲げられる。

「わかったわ」

大がかりな作戦となりそうだ。これは、徹夜かも知れない。

セレイアがそう思った時、シルフェが「あと」と話を続けた。

「二か月後に開く天上界への扉だけど、ただで開くわけじゃないんだ。
どうしても、やっておかなければならないことがあるの」

そう言って、シルフェは自らが首に下げていたペンダントを取り出し、掲げた。

「このペンダントは、僕が天上界から持って来た、特別なもので、帰るときに絶対に必要になるものなんだ。サラマスがレインスからもらったブレスレットと、今僕もしているブレスレットには、地上において姿を実体化させる力があるんだけど、それの仲間みたいなものだと思って。このペンダントに、夜の虹の光の力を集めて、こちらの存在を知らせる合図にしないといけないの。その合図がなければ、扉は開かないんだ」

その話を聞いて、セレイアの胸には素朴な疑問がわいた。
< 14 / 174 >

この作品をシェア

pagetop