麗雪神話~幻の水辺の告白~
「とりあえず、手当できる場所を探しましょう。
一番近い隠れ家はどこ?」

「この近くに隠れ家は…ない。あったところで、きっとみつかって、いる」

「じゃあ、ちょっと危険だけど、このまま町まで行くわよ。私の手を、離さないでね」

シルフェはボリスの手を握ると、風を呼んだ。

二人の体はふわりと持ち上げられ、勢いよく空を飛びはじめる。

ボリスは驚愕の表情をしていたが、さすがというべきか、悲鳴はあげなかった。

今が夜で幸いした。空を飛んでいても、人目につかない。

とはいえ、大きな町におりるのは避けなければならない。すぐにみつかってしまう。

(どこに飛ぶ?)

しばらく考えた末、シルフェは一路、ボリスに協力的だったコルッツォ村を目指して飛んだ。
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