麗雪神話~幻の水辺の告白~
「…もらった!」

ヴェインの槍先が眼前に迫る!

かわさなければ。

風のシールドを―――。

―だめだ、間に合わない!!

シルフェが激痛を覚悟して思わず目を閉じた時、

すぐそばでガキィィンと金属のこすれる音が響き渡った。

サラマスの短剣とは違う、もっと重みのある武器の響きだ。

「させないわ!」

続いて響いた高い声には、聞き覚えがあった。

シルフェが目を開けると、黄金の長い髪を二つに結んだ少女の、華奢な背中が見えた。

ヴェインの攻撃を間一髪防いでくれたのは、彼女が握った長槍らしい。

「セレイア!」

彼女だけではなかった。

忌々しそうに舌打ちするヴェインの手元が、急にぴきぴきと凍りつき始めた。

「ふん、小癪な!」

ヴェインの手の一振りで、氷は解けたが、ヴェインの手は赤く、凍傷のようになっていた。

これでは槍を扱うのに多少の支障が出るに違いない。

…この力は。

「スノーティアス!」

サラマスの喜色に滲んだ声を聞かずともわかる。

二か月ぶりに、やっと仲間たちが集合できたことが。
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