麗雪神話~幻の水辺の告白~
実際、読まれていたのだろう。

ボリスの剣筋は正統派中の正統派。

お手本のようなボリスの攻撃では、通用しないと言うことだ。

五合、十合と打ち合うたびに、だんだんとボリスは守りに回らざるを得なくなってきた。

悔しいが、強さはレコンダムの方が上なのだ。

「くそっ…!

お前を殺して、俺がこの国の王になる! それが師匠と俺の夢! こんなところで、負けてたまるかっ……!!」

ボリスの独白を聞いて、レコンダムがまたふっと微笑んだ。

それは明らかな嘲笑。

かっとなってにらみつけると、冷たい瞳がボリスを見ていた。

「…何も知らぬとは、哀れよの。
この国が、この地上が、今のままでいられるとでも?」

「…どういうことだ!」

さっぱり意味がわからない。

「私はこの地上の宿命を知っている。だから新天地へゆくのさ。ふふふ、はははは!」

レコンダムの瞳に宿る狂気に、思わずボリスが怯んだ時だった。

いつのまにか闇に包まれていた空が、急にまばゆい光を放った
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