麗雪神話~幻の水辺の告白~
「やっぱりだめだ………」
苦悩に満ちた声で、ディセルがそうつぶやいた。
(ディセル、ディセル、ディセル)
こんなにも名前を呼びたいのに、声が出ない。
セレイアが必死に嗚咽を我慢していると、急に。
体がふわりと持ち上げられた。
ディセルに抱き上げられたのだと気付くまでに、数瞬を要した。
「ディ…セル……?」
やっと掠れた声が出た。
ディセルがため息のように、言う。
「ごめんセレイア。
俺は今から君を―――――――奪う」
(え………――――――?)
言われている意味が分かる前に、セレイアを抱いたまま、ディセルは天上界への階段を駆け上りはじめた。
(え――――?)
迫り来る、開かれた天上界への扉。
(私、天上界に―――?)
セレイアがそう思った時には、すでに二人は扉をくぐっていた。
たくさんの予期せぬ人間を呑みこんで……、
天上界の扉は、ゆっくりと閉じて行った。
苦悩に満ちた声で、ディセルがそうつぶやいた。
(ディセル、ディセル、ディセル)
こんなにも名前を呼びたいのに、声が出ない。
セレイアが必死に嗚咽を我慢していると、急に。
体がふわりと持ち上げられた。
ディセルに抱き上げられたのだと気付くまでに、数瞬を要した。
「ディ…セル……?」
やっと掠れた声が出た。
ディセルがため息のように、言う。
「ごめんセレイア。
俺は今から君を―――――――奪う」
(え………――――――?)
言われている意味が分かる前に、セレイアを抱いたまま、ディセルは天上界への階段を駆け上りはじめた。
(え――――?)
迫り来る、開かれた天上界への扉。
(私、天上界に―――?)
セレイアがそう思った時には、すでに二人は扉をくぐっていた。
たくさんの予期せぬ人間を呑みこんで……、
天上界の扉は、ゆっくりと閉じて行った。