麗雪神話~幻の水辺の告白~
翌日深夜。

一行はひっそりと荷物をまとめて宿を抜け出し、人目につかない空地へとやってきた。服装も、闇に溶け込む黒色の服をそれぞれ身に着けてきた。

「ここから、全員で飛ぶよ。プミラも、鳴いたりしないように気を付けてね」

プミラも一緒に、シルフェの風で飛ばせてもらうことになる。プミラの翼では地上から黙視できないほど高くは飛べないからだ。

「じゃあ、それぞれ隣の人と手をつないで」

そう言われて、セレイアは思わずためらった。

右隣はプミラで、手綱を握っていたからよかったが、左隣が…ディセルだったから。

ディセルとセレイアはしばし黙り込み、しかしディセルの方が意を決したようにセレイアの手を握ってきた。

繊細そうなのに大きくて、あたたかい手だと思った。

そのぬくもりが熱いように感じられ、セレイアは変な気分になった。

何か心の奥底がむず痒いような…変な気分だ。

シルフェとサラマス、サラマスとディセルも手をつないだようだ。

「準備はいいね? 行くよっ」

シルフェの声とともに、どこからか強い風が吹き付けてきた。

草原をどうっと吹き抜ける風。

その風に、ふわりと体が持ち上げられる。

「~~~っ!」

セレイアは悲鳴を押し殺した。
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