麗雪神話~幻の水辺の告白~
プミラで空を飛ぶのとは、わけが違った。

胸のあたりがきゅうんとなるような、浮遊感がすごいのだ。

風は勢いを増し、四人は高々と宙に舞いあがった。

(…高い!)

星空が近くなる。

プミラに乗るのと違い、足元がこころもとない。このまま落ちてしまいそうでかなり怖い。

どんどん町が小さくなっていく。

眼下に、王都とそれを取り囲む城壁が見えた。

「さあて、どんな冒険がお好み?」

かなりの高度で止まり、シルフェが意地の悪い笑みを浮かべて問いかけてくる。

セレイアは嫌な予感しかしなかった。

ここでいうところの冒険なんて…ろくな意味ではないだろう。

「ゆっくり、ゆっくりお願いよシルフェ」

「またまた~、そんな遠慮することないよ。というわけで、冒険冒険! 悲鳴をあげないように気を付けてね! それじゃっ」

セレイアの願いなどきれいさっぱり無視したシルフェが、風を動かすと――――

ぐん、と突然、重力が体を支配した。

「きゃ、~~~~~~っ!!」

根性で悲鳴をこらえた。

突然風を失った四人の体は、矢のように、地上へ向かって落ちていく。

隣のプミラが鳴きもせず、楽しそうにしているのがちらりと見えて、セレイアはプミラをすごい子だと思った。

ディセルが、大丈夫だと言うようにぎゅっと手を握ってくれた。

それで、セレイアも肝が据わった。

王都が近づいてくると、再び体を軽く持ち上げる風を感じた。

勢いを殺さず監視役の目にも留まらぬ流星のように、なおかつ体に負担をかけないやり方で、シルフェは一行を王都へといざなってくれたのだった。
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