麗雪神話~幻の水辺の告白~
「薪の組み方、工夫したのね」

いつもと違い、幅の広い炎をあげる薪を見て、セレイアは感心した。

このくらい炎に幅があると、調理もしやすく大変便利なのだ。

「まあ~な! いい炎だろ? なんたって俺は炎の神様だからなっ」

こういうところが神様らしくない、とセレイアは思う。

サラマスからは威厳と言うものが感じられないのだ。

気さくで話しやすくて、好感が持てる。

だからセレイアは笑って冗談を返した。

「ふふ、ほんとは薪なんていらないでしょ?
調理の間中、ううん、一晩中、ずっと空中に炎を出し続けてくれてもいいのよ」

サラマスはげっと、神様らしくない声をあげた。

「オイオイ、それはさすがに辛いぜ。今は一応人間の身なんだからな。
でも、ま、ちょいとサービス」

サラマスがちょっと指先を動かすと、薪の炎がぐにゃりと歪んだ。

そしてかわいらしいウサギの形になる。

「…すごい!」

「そうだろそうだろ、ははは」

ウサギの次はリス、その次は猿、熊と姿を変える炎にセレイアが見入っていると、不意に涼やかな声が二人の間に割り込んできた。
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