麗雪神話~幻の水辺の告白~
第二章 散り散りの花たち
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エイフォーティク帝国王都エイフォート。
「帝王国」とも呼ばれる国ゆえ、人々の間では「王都」と呼びならわされているが、正式な呼び名は「帝都」であるという。セレイアたちは馴染んだ呼び名、王都と呼ぶことにしていた。
その都は確かに巨大で圧巻ではあるが、陽の光の下で見ると、いささか悪趣味が過ぎるように見受けられた。
ラパスやほかの町村の控えめな暗赤色の屋根色とは違い、すべての屋根が金ぴかに塗りたくられているからだ。それに道は複雑に入り組み、誰もが自己を主張して勝手に家を建てたという感じが否めない。
(街並みにまで、王様の趣味が反映されているのかも)
セレイアはそんなことを思いながら、賑わう王都エイフォートの大通りを、外套のフードを深くかぶって歩いていた。
隣には同じく日よけの外套に身を包んだディセルと、大きな帽子で顔を隠しているサラマスが並ぶ。けっこう怪しい風体の三人だが、このへんの暑い気候では日差しをよけるためにこういった格好で歩く人も少なくないため、自然と周囲に溶け込んでいる。
通りには商店が並び、往来も多い。
「帝王国」とも呼ばれる国ゆえ、人々の間では「王都」と呼びならわされているが、正式な呼び名は「帝都」であるという。セレイアたちは馴染んだ呼び名、王都と呼ぶことにしていた。
その都は確かに巨大で圧巻ではあるが、陽の光の下で見ると、いささか悪趣味が過ぎるように見受けられた。
ラパスやほかの町村の控えめな暗赤色の屋根色とは違い、すべての屋根が金ぴかに塗りたくられているからだ。それに道は複雑に入り組み、誰もが自己を主張して勝手に家を建てたという感じが否めない。
(街並みにまで、王様の趣味が反映されているのかも)
セレイアはそんなことを思いながら、賑わう王都エイフォートの大通りを、外套のフードを深くかぶって歩いていた。
隣には同じく日よけの外套に身を包んだディセルと、大きな帽子で顔を隠しているサラマスが並ぶ。けっこう怪しい風体の三人だが、このへんの暑い気候では日差しをよけるためにこういった格好で歩く人も少なくないため、自然と周囲に溶け込んでいる。
通りには商店が並び、往来も多い。