麗雪神話~幻の水辺の告白~
三人は昼食を済ませてから、活動拠点の廃屋に戻った。

シルフェが探してきてくれたこの廃屋は、何戸かがつながり、とんがり屋根を置いた伝統的なエイフォーティク仕様。しかし雨風はしのげるものの、あちこち傾いたり、つぶれたりしていて、とても人の住めるような場所ではなかった。だからこそ、活動拠点として最適なのだとシルフェは言っていたが、セレイアは正直いつ天井が崩れてくるかと気が気ではなかった。

屋内にはガラクタが山積し、大部分の窓を覆ってしまっているので昼間でも薄暗い。これでもだいぶ避けた方だが、外からこちらを目撃される危険を考えると、暗いくらいでちょうどいいらしい。

三人が腰を落ち着けて早々、シルフェが偵察から戻ってきた。

「ふいーっ、働いた~! 昼食食べながら、さっそく、作戦会議といこう!」

シルフェは砂糖のアイシングをかけた甘いパンを頬張りながら、紙に絵図面を起こし始めた。

主宮殿を中心に、七つの神殿風建造物。

「正面が客殿。
その左右が皇子宮と皇女宮。
高官邸がいくつか並んで…
主宮殿の北西、左上に位置するのが、おそらく皇帝の寝起きする奥宮だと思うよ。朝、そこからぞろぞろたくさんの護衛や侍女を連れて、誰か身分の高い人が輿に乗って主宮殿に移動していくのをこの目で見たから」
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