麗雪神話~幻の水辺の告白~
「あやつというのは、霧使いのヴェインのことですか」
堅い声で問うと、レコンダムは悠然とした仕草で長い髪を払いながら、答えた。
「そうだと答えたら、なんとする?」
肯定も同然の答えである。
やはり、ヴェインはこの男と通じている…。
「彼の操る霧の力は、危険なものです。それに彼は神などではない。霧の神など天上界に存在しないのですから。何者かまったくわからぬ者の言に踊らされるなど、一国の王ともあろうお方が、あまりにも短慮ではありませんか。
あなたは彼に利用されているだけです。
即刻手を切ってください」
淡々としたディセルの言葉を、王は微笑を浮かべながら聞いていた。
まったく危機感を感じていない、そんな表情だ。
「それは聞けぬな。それこそ何者かまったくわからぬお前たちの言に踊らされるわけにはいかぬでな」
的確な切り返しに一行が黙ると、ふっと皇帝はセレイアに視線をよこした。
「娘、お前とて、異能の者と手を組んで己の利益としておろう。それと、同じこと」
「――!!」
その台詞は、セレイアの胸をズガンと弾丸のように射抜いた。
「ちが…そんな、私は…!」
思わず動揺して、声をあげる。
堅い声で問うと、レコンダムは悠然とした仕草で長い髪を払いながら、答えた。
「そうだと答えたら、なんとする?」
肯定も同然の答えである。
やはり、ヴェインはこの男と通じている…。
「彼の操る霧の力は、危険なものです。それに彼は神などではない。霧の神など天上界に存在しないのですから。何者かまったくわからぬ者の言に踊らされるなど、一国の王ともあろうお方が、あまりにも短慮ではありませんか。
あなたは彼に利用されているだけです。
即刻手を切ってください」
淡々としたディセルの言葉を、王は微笑を浮かべながら聞いていた。
まったく危機感を感じていない、そんな表情だ。
「それは聞けぬな。それこそ何者かまったくわからぬお前たちの言に踊らされるわけにはいかぬでな」
的確な切り返しに一行が黙ると、ふっと皇帝はセレイアに視線をよこした。
「娘、お前とて、異能の者と手を組んで己の利益としておろう。それと、同じこと」
「――!!」
その台詞は、セレイアの胸をズガンと弾丸のように射抜いた。
「ちが…そんな、私は…!」
思わず動揺して、声をあげる。