麗雪神話~幻の水辺の告白~
(目的は果たせた。あとは逃げるが…勝ちだぜ!)

サラマスはプミラに乗って逃げ出すことにした。

しかし剣の間合いから逃れて空に舞い上がった時、男が懐に隠し持っていた何かを口元にあてがった。

何をするつもりか、と思った次の瞬間、左胸に激痛が走った。

矢のようなものが、サラマスの左胸に突き立っている!

(吹き矢か、くそ…!)

しかも悪いことに、痛みのせいだけではなく、体からどんどん力が抜けてくる。

毒が塗ってあったようだ。

サラマスはプミラに乗っていられなくなり、地面へと落下した。

プミラが鳴いて戻ってこようとするのを、サラマスは必死で声を上げて押しとどめた。

「お前は行け…! プミラ! 俺は、大丈夫だから…!!」

サラマスの想いが通じたのか、プミラは空へと消えていった。

プミラは頭のいい動物だ。きっと拠点に帰り、セレイアたちを待つだろう。

(…問題は俺だ。
俺、殺されるかも)

地面に倒れ身動きがとれなくなったサラマスに、プラトーが近づいてくる。

「この炎、お前の力か」

「…だったら、どうなんだよ…」

「…ふむ。おい、衛兵、この者を縛り上げて、牢に放り込んでおけ」

その台詞を最後に、サラマスの意識は闇に溶けて行った。
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