麗雪神話~幻の水辺の告白~

時は少々遡る。

深夜空を飛び、追っ手から逃れてジャングルに降り立ったシルフェは、これからのことを考えていた。

ジャングルは夜の闇に沈み、鬱蒼と生い茂る枝葉で月明かりも遮られて、神であるシルフェの目でも周囲の状況を把握するだけでひと苦労だった。

これなら追っ手にみつかるはずがない。

その点は安心していていいのだが…。

(とりあえず明るくなってから行動するとして…どこで夜を明かそう。獣の類が心配だよね)

サラマスのように火を起こすこともできないので、万が一出会ってしまったら風の力で戦うか、空に逃げるしかないだろう。

シルフェはしばらくジャングルを手探りでさまよい、みつけた巨木のうろで丸くなった。

疲れが出たのだろうか、先ほどからなんだか体がだるい。

頭もなんだかふわふわして、変な感じだ。

(最近力を使いっ通しだったから…)

それだけにしてはひどく消耗している気がしたが、シルフェは深く考えられず、そのままあっというまに寝入ってしまった。
< 47 / 174 >

この作品をシェア

pagetop