麗雪神話~幻の水辺の告白~
次に半分だけ意識が覚醒したとき、シルフェはあたりがすでに明るくなっていることに気が付いた。うすぼんやりと目を開けると、深い緑が目に入ってくる。

(そっか、僕、ジャングルで寝て……)

まだ眠い。

もう少し眠ってから行動を…と思い、目を閉じたシルフェの耳が、ある音を拾ったのはその時だ。

ざくざくと、地を踏みしめる足音。

(人……ひょっとして、追っ手?)

危険だと頭の片隅が警鐘を鳴らすのに、シルフェは睡魔に抗えない。

この異常なまでの眠気が何を意味するのか、この時のシルフェはまだわかっていなかった。

「人…!? なんでこんなところに人が寝てる…!? おい…!」

初めて聞く声と共に、肩を揺さぶられる。

声はシルフェの容貌に目を留め、一瞬呼吸を止めたようだった。

「お前、男………か? なんて美しい…」

(眠っちゃだめだ、僕…)

「は、はなし…て……」
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