麗雪神話~幻の水辺の告白~
「私の具、もとから少なかったから、私に譲ってくれない?」

セレイアだって参戦した。

「早いもん勝ちっ!」

「ああっ」

「ちょっとサラマス!」

サラマスが無理やり奪い取ろうとしたところで、仲裁が入った。

突然巻き起こった吹雪が、三人の視界を閉ざしたのだ。

「三人とも、頭を冷やして。こんなことで争わない」

吹雪とディセルの落ち着いた声で、三人は強制的に頭を冷やされた。

そう、ディセルは雪と氷を自在に操る雪の神で、この四人での旅の、仲裁役だ。

争いを仲裁するとなると、その穏やかな性格からは考えられないほど、押しが強くなり、誰も太刀打ちできない。

ディセルは最後の肉をきれいに四等分に切り分け、それぞれの皿に乗せたのだった。

「プミラ、あなたにも御飯よ」

食後、セレイアは花の形の砂糖菓子を持って、もう一人の旅の仲間であるプミラのもとに行った。プミラはプミールという翼の生えた犬のような生物で、人が乗れるほど大きい。このプミールは、どこの国でも種類は多少違えど空の足として重宝されている。主食は花、という穏やかな生き物である。セレイアのプミラは少し変わっていて、花よりも砂糖菓子を好む。

声を掛けると、きゅーっとプミラは喜んで鼻を摺り寄せてくる。
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