麗雪神話~幻の水辺の告白~
4
目が覚めた時、サラマスは暗くじめじめとした場所に、両手を拘束されて転がされていた。
視界いっぱいに映るのは、仰々しい鉄格子。
さびかけた鉄の匂いがあたりに充満している。
どうやら牢の中だと思うと、サラマスは舌打ちしたくなった。
(あのまま捕まっちまったってわけか…痛て)
わずかに身じろぎしただけで左胸が痛んだ。
衣服に血がにじんでいる。
(あんの男、情け容赦なく毒矢を胸に打ち込みやがって)
まだ自分が生きていることから察するに、矢は間一髪、心臓には達していなかったのだろう。それがあのプラトーとかいう男の計算だとしたら、すごい腕前である。
神であるサラマスは、人間の姿をしていても、怪我の治癒能力がただの人間より高い。だからか、頭はすっきりとしてきていて、毒も抜け始めているように感じた。
(さて、これからどうするか)
とりあえず、サラマスは両手の戒めの縄を、激しい業火でもって焼き切った。
だが、鉄格子は同じようなわけにはいかないだろう。
業火で曲げられるとしても、かなりの匂いが広がることが予想され、見張りに気付かれないはずがない。
無論、見張りなど簡単に倒せるとは思うが、こんなところで神の力を使って、守るべき人間たちを殺めたくない。
今すぐ自力で脱出するのは、諦めた方がよいだろう。
視界いっぱいに映るのは、仰々しい鉄格子。
さびかけた鉄の匂いがあたりに充満している。
どうやら牢の中だと思うと、サラマスは舌打ちしたくなった。
(あのまま捕まっちまったってわけか…痛て)
わずかに身じろぎしただけで左胸が痛んだ。
衣服に血がにじんでいる。
(あんの男、情け容赦なく毒矢を胸に打ち込みやがって)
まだ自分が生きていることから察するに、矢は間一髪、心臓には達していなかったのだろう。それがあのプラトーとかいう男の計算だとしたら、すごい腕前である。
神であるサラマスは、人間の姿をしていても、怪我の治癒能力がただの人間より高い。だからか、頭はすっきりとしてきていて、毒も抜け始めているように感じた。
(さて、これからどうするか)
とりあえず、サラマスは両手の戒めの縄を、激しい業火でもって焼き切った。
だが、鉄格子は同じようなわけにはいかないだろう。
業火で曲げられるとしても、かなりの匂いが広がることが予想され、見張りに気付かれないはずがない。
無論、見張りなど簡単に倒せるとは思うが、こんなところで神の力を使って、守るべき人間たちを殺めたくない。
今すぐ自力で脱出するのは、諦めた方がよいだろう。