麗雪神話~幻の水辺の告白~
共に過ごすうち、本当の親子のような情が、二人の間には芽生えた。
そしていつだったか、グレフもまた戦争で両親を亡くし孤児院にいたのだと知った。
その時思った。
自分がもしずっと孤児院にいたら、ただ国や政治家を呪うだけで、何もしようとしなかったのではないかと。グレフのように、政治家となり、国を変えようと、行動を起こせていただろうかと。
…グレフのようになりたい。
その背中を、いつか越せるような、大きな人間になりたい。
そう自覚した時、ボリスの中の何かが廻りだしたのだ。
グレフは政治家として優秀な存在で、国王の信任も厚かった。
国王は自らの養子レコンダムと、グレフの、どちらに帝位を譲るか、長年悩んでいたという。
グレフは特別王位を望んではいなかったが、誰よりも国を変えていきたい思いは強かったろう。
―それがたとえレコンダムの政治の下でも、なんでも構わない。世界が変わり、人々に幸せが満ちるならそれでいい。
グレフの言葉に、ますます彼を敬愛する気持ちが強くなったのを覚えている。
―しかし。
レコンダムの方は、そうは思っていなかったのだ。
そしてあの日が訪れる…。
そしていつだったか、グレフもまた戦争で両親を亡くし孤児院にいたのだと知った。
その時思った。
自分がもしずっと孤児院にいたら、ただ国や政治家を呪うだけで、何もしようとしなかったのではないかと。グレフのように、政治家となり、国を変えようと、行動を起こせていただろうかと。
…グレフのようになりたい。
その背中を、いつか越せるような、大きな人間になりたい。
そう自覚した時、ボリスの中の何かが廻りだしたのだ。
グレフは政治家として優秀な存在で、国王の信任も厚かった。
国王は自らの養子レコンダムと、グレフの、どちらに帝位を譲るか、長年悩んでいたという。
グレフは特別王位を望んではいなかったが、誰よりも国を変えていきたい思いは強かったろう。
―それがたとえレコンダムの政治の下でも、なんでも構わない。世界が変わり、人々に幸せが満ちるならそれでいい。
グレフの言葉に、ますます彼を敬愛する気持ちが強くなったのを覚えている。
―しかし。
レコンダムの方は、そうは思っていなかったのだ。
そしてあの日が訪れる…。