麗雪神話~幻の水辺の告白~
シルフェは誤解されないよう、言葉を継いだ。

「いや、あのね。軽んじているわけじゃないの。ただ、ボリスとグレフさんに、本当の愛情と絆があったのが、伝わってきたから…本当に愛していたんだなって思ったから…そんなふうに誰かを愛したり、愛されたりするのって、羨ましいって思ったんだ。
僕は天上界で風の神様をやっていて、好きな人もいるけど、そこまでの愛情を培うことはできていないんだもの」

「…………は?」

ふと見れば、ボリスの目が点になっている。

シルフェは小首を傾げた。

何か変なことを言っただろうか。

「どうかした?」

「…お前、俺様をからかってるのか?
天上界で風の神って、んなわけないだろうが。どっからどう見てもお前は人間の坊主だろ」

「あれ、言ってなかった?
僕は風の神で、シルフェードっていうの。知らない?
僕は今は事情があって人間の姿をしているけど、それでも風の力で空を飛んだり、ものを切り裂いたり、いろいろできるよ」
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