麗雪神話~幻の水辺の告白~
「は!? そんなことができるならなぜ今までやらなかった?」

「今だけそれができないの。高熱を出したでしょ、あれは、しばらく風の力を使えなくなる、神様のちょっとした病気で………」

「俺様がそんな都合のいいたわごとを信じるとでも思うのか? まぬけ」

「なっ……!」

本当のことを言っているだけなのに、ひどい言われようだ。

まあでも、人間にとってにわかに信じがたい話ではある。

シルフェは少しむくれた。

「別に信じてくれなくてもいいよ~だ」

「神………神様………」

ボリスが不意にぶつぶつ呟きながら思案するような表情になった。

そしてしばしののち、ぽんと手を打ち破顔する。

「うん、やはりそろそろだシルフェ。
お前を存分に利用してやるからありがたく思え!」

「…なにそれ。嬉しくない」

そう言いながらも、何かボリスの夢の役に立てるならそれもいいと、頭の片隅で思うシルフェだった。
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