麗雪神話~幻の水辺の告白~
第五章 幻の水辺の告白
1
王都の隣町の大通りは、一番賑わう昼時を迎えていた。
「そろそろどこかで昼食を買おう」
外套のフードをしっかりおろしたディセルが、同じくフードで顔を見えないようにしたセレイアの肩を引き寄せながら、そう提案した。
正直なところセレイアはもうおなかぺこぺこだった。
今日は朝から何も食べずに、情報収集に励んでいたからだ。
なるべく顔を覚えられないようにと、あまり店には近づかず、買い物は最小限に抑える、それが今の二人の方針だ。
けれど腹が減っていてはいざというとき戦えないのも事実。
とういうわけで、二人は軽食屋台で、カレーナンをふたつ購入した。
「おいしそうだね」
セレイアに笑いかけるディセルの顔をちらりと見て、店主は首を捻った。
「ん? あんたら、どこかで見た顔だが……」
「!!」
二人は慌てて屋台から遠ざかった。
…危ない危ない。
皇宮に侵入して以来、二人は立派なお尋ね者になり、手配書も出回っているのだ。
「そろそろどこかで昼食を買おう」
外套のフードをしっかりおろしたディセルが、同じくフードで顔を見えないようにしたセレイアの肩を引き寄せながら、そう提案した。
正直なところセレイアはもうおなかぺこぺこだった。
今日は朝から何も食べずに、情報収集に励んでいたからだ。
なるべく顔を覚えられないようにと、あまり店には近づかず、買い物は最小限に抑える、それが今の二人の方針だ。
けれど腹が減っていてはいざというとき戦えないのも事実。
とういうわけで、二人は軽食屋台で、カレーナンをふたつ購入した。
「おいしそうだね」
セレイアに笑いかけるディセルの顔をちらりと見て、店主は首を捻った。
「ん? あんたら、どこかで見た顔だが……」
「!!」
二人は慌てて屋台から遠ざかった。
…危ない危ない。
皇宮に侵入して以来、二人は立派なお尋ね者になり、手配書も出回っているのだ。