そっと、心に。(仮)
「それにしても、さ、さすがだね愛夕ちゃんっ・・・!」
「え?あ、まあね。慣れたし」
「「・・・・ハァ。」」
「え?!何なんでそこで2人して死んだ魚の目みたいになってるの!?」
慣れたし、なんて言ってみたいものですな。
まあ、でも別に、ね。
「(私はいいや・・・―――)」
ズズズズ、と自動販売機で買った温かいココアを飲みながら私達3人は歩き出した。
――・・・・
「さっむーい・・・」
「太陽しっかり出てるのにね・・・」
「太陽もっとしっかりしろやー!!もっと火を出せ火を!!!」
「・・・陽、あんたはいいよ、うん・・・・」
え!?何で!?ってわざとおどける私。
それを見ていまだにドライな愛夕と、可愛くクスっと笑うみっちゃん。
・・・―――うん、やっぱ、いいな。
こういう居場所って
凄く、居心地が良い。
高校生も、今日をもって卒業なわけで。
今までみたいに、制服を着て馬鹿みたいに
はしゃぐ事はもうないんだなーなんて思うと
寂しいような、どこか切ないような。
それでも、この“居場所”だけは
・・・―― 変わらないでいてほしい。
そう思えるのは、大切な愛夕とみっちゃんがいるからで。
それだけで、私は幸せなんだって、思えるよ。