好きな音。
今日は珍しく起きれたらしい。



上にあがってきた。




「おはよう、舞たんっ」

お姉ちゃんはあたしを愛しそうな目で見てそう言う。
「おはよう」
あたしはお姉ちゃんの目を見ないで返事をした。
見たくない。


「あ、いーなあ。あたしもパン食べたい」

お姉ちゃんはそう言いながら目玉焼きを焼く。
卵を2つも使う。
たまに3つ使ったりもする。


―――ジューッ


音がする


かちっかちっかちっ


目玉焼きとパンを焼く音。


いい匂いが台所からしてきた。



「舞も卵食べるー?」
お姉ちゃんは優しい声で言う。
あたしは無愛想に
「いらない」
と言った。


お姉ちゃんはいつも優しい。

お姉ちゃんはきっとあたしを誰よりも愛してる。
そして、憎んでいるとおもう―

あたしはお姉ちゃんに対する愛情のカケラさえ感じない。



お姉ちゃんはあたしに片思いをしていた。
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